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2020-08-13 22:48:00

飛島の伝説 とびしまのでんせつ

酒田市飛島

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昔の記録に、飛島には今の名前の他に、分れ島、とど島、鬼ケ島、都島、渡島等、一○近くも呼び名があり、その一つ一つに面白いいわれがあります。分れ島というのは、昔、鳥海山が噴火した時、山の頂きが飛んで海の中に落ちて今の飛島ができたのでこの名があり、とど島というのは、島の近くで沢山の魚がとれ、庄内の子供が魚のことを「とど」というところからつけられたと伝えられます。又、鬼ヶ島のいわれには、今から一、○○○年の昔、飛島に風鬼火鬼という二匹の鬼がいて、島の人々を苦しめていました。そこで、朝廷では、百合若大臣にに軍船を与え、退治するように命じました。百合若大臣は二○人力といわれた力持で、別府太郎、次郎という二人の家来をつれて飛島にわたると、たちまち二匹の鬼を退治してしまいました。気のゆるみと、つかれの出た百合若大臣はついうとうとと眠ってしまいました。それを見た別府太郎と次郎は「今のうちにそっと飛島を出て朝廷にもどったら、きっと出世の糸口がつかめる」と考え、二人は百合若大臣をそのままにして飛島をぬけだし、帰ってしまいました。朝廷にもどった別府兄弟は、百合若大臣は鬼に殺されてしまい、自分達兄弟で鬼を退治したと報告しました。うそとは知らない朝廷は、兄弟の手柄を認めて、別府太郎を百合若のかわりに大臣にしました。目のさめた百合若は二人をさがしましたが見あたりません。船もないままに七年間も飛島でくらしました。七年すぎたある日、やっと漁船にのった百合若は、ひそかに故郷に帰り、別府兄弟をこらしめる機会を待っていました。ある日、町を歩いていた百合若は、こんなおふれに目をとめました。「二○人力で引く鉄の弓を、一人でひくものにはほうぴを与える。別府太郎・次郎」さっそく申し出た百合若は、みすぼらしい姿で別府兄弟の前にたちました。赤銅色に日焼けした顔や手足、ぼうぼうにのびたひげ、別府兄弟はこの男を百合若と知るよしもありません。鉄の弓を満月のようにひきしぼった百合若は、的を射ると見せかけ、急に別府兄弟の方を向き、「吾こそは百合若なり」と名のると、矢をはなちました。別府兄弟は、一本の矢に胸をつらぬかれてあえない最後をとげたということです。百合若大臣のお話は、幸若舞という室町時代の舞曲の中にもありますが、つい最近までの飛島は、文化におきわすれられた島でしたが、昭和三八年七月、国定公園の鳥海山地域に指定されました。