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2020-08-14 16:32:00

黒川能 くろかわのう

鶴岡市黒川

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黒川の集落に歌舞伎と共に、日本伝承芸術の一つとして、世界に知られている能楽・黒川能があります。この黒川能は、今から六五○年以上前の、南北朝時代に始まるといわれております。当時の北朝、後小松天皇の第二皇子、「小川宮」が二つに分れた朝延の、争いをのがれて旅に出られ、御歳七○歳の時、黒川にお住みにたったと申します。その時、小川宮のお供で来た剣持、遠藤の二人が村人に伝えたのが黒川能の始まりといわれております。只今、春日神社には、足利時代中期のものと思われる、古い能の装束や、天文年間(一五三二))に書き写した、世阿弥の口伝などが残されています。しかし今の黒川能が、中央の能楽界から高く評価される迄に完成した蔭には、村人の努力は勿論、この庄内を始めた代々の殿様の援助があったのを、見逃す事は出来ないようです。春日神社は、鎌倉時代の武藤家をはじめとし、上杉家、最上家、酒井家から非常に敬まわれ黒川能は神事能として、神社の祭礼がある度に上演され、賜り物や能役者の士分取立て等、数々の保護が与えられておりました。能楽の持つ香り高いゆかしさが、鋤鍬持つお百姓の手で幾百年の間、守り続けられて来たのは、一つの奇跡とでも言えましょう。ただ今でも、毎年二月一日には、上座二四九首、下座二三九首の二つに分れて一晩中、能狂言の宴がくりひろげられております。月山の山ふところに、ひそやかに続くこの黒川能が、無形文化財として保護される程、芸術性の高いものときいては、長い時代を厳しく伝統に生きぬいた、農民芸術家達の激しい意欲にただ感服させられます。